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北京の下水処理水で奇形メダカ、孵化の80%に異常

 【北京=佐伯聡士】北京市内の下水処理水でメダカの卵を孵化(ふか)させる実験を日中共同で行った結果、環境ホルモンの影響とみられる稚魚の尾の奇形や孵化日数の短縮による死などが起き、孵化の80%に異常があったことが3日、明らかになった。

 今年8月の北京五輪を前に環境対策を本格化させている中国だが、身近な生活環境に不安が潜んでいることが浮き彫りになった。

 実験は、オゾンによる高度な下水処理技術をもつ三菱電機が大阪大、北京大などと共同で2005年から2年間かけて実施した研究の一部。将来的に高度処理を導入することで、北京の水不足を解消するのが目的だ。

 三菱電機によると、実験は現在の北京の下水処理水を使い、汚染への感度が高いとされるメダカの卵に処理水をかける形で行われた。その結果、通常90%とされる孵化率は30~40%に低下。孵化日数も、通常は10日で孵化するのが5~7日に短縮された。尾の先端が曲がるなどの奇形も確認され、正常な孵化はわずか20%だった。成魚には影響はなかった。

 原因については、従来の下水処理(活性汚泥処理)では除去できないビタミンAの代謝物レチノイン酸と同様の働きをする物質が処理水に含まれていたためとみられている。

 また、北京市内の主要6か所の下水処理場を検査した結果、5か所でレチノイン酸と同じ働きの物質の陽性反応が出た。この5か所には、いずれも工場排水が混入していたという。

 環境ホルモンの一種ともいわれるレチノイン酸は、美容整形のしわ取りなどに使われる物質。過剰摂取すると、カエルの後ろ脚が3本になる奇形の報告もある。

(2008年1月4日9時2分 読売新聞)


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