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不妊治療で注目のチェコ東部ズリーン、海外からのツアー客も

【2月19日 AFP】スロバキアとの国境にほど近いチェコ東部の工業都市ズリーン(Zlin)が、多くの女性にとって生命を宿す場所として注目されつつある。民間の診療所で不妊治療を受けるために訪れる女性が増えているのだ。

 その背景には、治療費の安さと法律の柔軟性がある。

 ズリーン診療所のLadislav Pilka所長は「米国、ロシア、北欧、ドイツ、オーストリアなどのほか、ラビに率いられてイスラエルから訪れる人たちもいる」と語る。

 東欧で安価な歯科治療や美容整形手術を受ける場合と同じように、子どもを持ちたいカップルは口コミやウェブ上のチャット、ブログ、専門サイトなどで不妊治療院を見つける。さらに、「体外受精ツアー」なる1-3週間のツアーを提供する会社もあり、観光地や温泉保養地などと併せて訪れることも可能だ。

 旅行を兼ねて不妊治療にZlinを訪れた米国人ジェニファー(Jennifer)さん(33)は「安さが最大の魅力」と語る。「楽しみたい。何があっても良い思い出にしたい」と語る彼女は、プラハ(Prague)やウィーン(Vienna)観光を楽しみ、2回目の体外受精(IVF)に成功して前年10月に双子を出産した。

 米国人エレイン(Elaine)さん(45)は「米国で1回治療を受ける料金で、3回ズリーンに行くことができる」と語る。前年7月にズリーンで不妊治療を受けた際の費用は、すべて含めて1万ドル(約108万円)に満たなかったという。現在妊娠8か月で、希望に満ちあふれているという。

 米生殖医療学会(American Society for Reproductive Medicine、ASRM)のウェブサイトによると、米国でのIVF治療費は1回当たり1万2400ドル(約134万円)で、大半の場合は2回以上の治療が必要だという。

 チェコ西部の主要都市プルゼニ(Pilzen)にあるCenter for Assisted Reproduction(生殖支援センター)のHana Visnova医師は、海外からの患者はただ安いから来るのではなく、成功率や技術の高さが一番の要因だと語る。

 欧州で最も自由な法体系を持つ同国では、卵子提供、精子提供、受精卵提供、IVF、卵細胞質内精子注入法(ICSI)、受精卵培養、着床前診断(PGD)など、ほとんどすべての種類の治療が受けられる。

 他国では考えづらいことだが、カップルはドナーのプロフィルを選び、特別な注文をつけることもできるという。「テーラーメード・チルドレン(注文仕立ての子ども)」を提供しているとの批判に対しチェコの医師たちは、欧州の倫理規定を尊重していると反論する。

 同国の診療所はその迅速性でも海外から支持を得ている。チェコでの待機期間が2-3か月であるのに対し、他国では2-3年も待たされるという。

 ドナーにも事欠くことがないという。卵子提供は無償だが、移動や費やす時間に対する補償として1万5000コルナ(約9万2000円)が支払われる。平均月収が2万コルナ(約12万3000円)の同国では、大きな額だ。

 治療にあたっては、電子メールのやり取りとウェブ上の診断が行われる。実際に治療を受けることを決めたら、ドナーを予約するための前金を払い、診断書が発行される。

AFPBB News - 2008年2月18日



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